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SBLCの収益化

SBLCの収益化についての解説

SBLCの収益化について詳しく解説

1. SBLC(スタンバイ・レター・オブ・クレジット)とは?

SBLC(Standby Letter of Credit)は、金融機関が発行する保証状であり、発行銀行が受益者(資金提供者)に対して支払いを保証する信用証書です。通常、貿易取引や国際プロジェクトの資金調達に使用されますが、近年では「SBLCの収益化(モネタイズ)」によって、大規模な資金調達の手段として活用されています。

2. SBLCの収益化とは?

SBLCの収益化とは、SBLCを担保として資金提供者(収益化銀行)から資金を引き出す仕組みです。この方法では、投資家や企業がフレッシュカット(新規発行)のSBLCを購入し、それを収益化銀行に送金することで、額面の一定割合(LTV:ローン・トゥ・バリュー)で資金調達が可能になります。

収益化の主な流れ:

  1. SBLCの取得
    • SBLCは発行銀行から発行され、受益者(借入者)の指定口座に送金される。
  2. SBLCの送金(SWIFT MT760)
    • 収益化銀行に対して、SWIFT MT760(銀行保証メッセージ)を利用してSBLCを送金する。
  3. 収益化銀行による信用枠の設定
    • 収益化銀行がSBLCを担保として評価し、LTVの範囲内で資金を提供。
  4. 資金の受領と活用
    • 調達資金は借入者の銀行口座に送金され、事業資金や投資に活用される。

3. SBLCの収益化による資金調達の仕組み

SBLCの収益化は、担保としての信頼性が高いため、多くの国際投資銀行で採用されています。以下の要素が重要なポイントとなります。

① LTV(ローン・トゥ・バリュー)の割合

収益化銀行が提供する資金の割合(LTV)は、通常 60%〜85% となります。例えば、SBLCの額面が1億ドルの場合、LTVが85%であれば 8,500万ドル の資金を調達できます。

② 収益化の期間と手続き

  • 一般的に、SBLCの収益化は 7〜14営業日 以内に完了します。
  • SWIFT MT760を通じてSBLCが収益化銀行に送られると、資金提供のプロセスが始まります。

③ SBLCの種類と特性

SBLCには「フレッシュカット」と「リース」があります。

  • フレッシュカット(新規発行)SBLC:銀行が新規に発行し、1年間の満期後に額面通りに現金化できる。
  • リースSBLC:既存のSBLCを一定期間貸し出す形で利用し、満期時には返却が必要。

4. SBLCの収益化のメリット

① 返済不要の資金調達
SBLCの収益化による資金は、通常の銀行ローンとは異なり、返済義務がない点が特徴です。投資銀行がSBLCを割引収益化するため、企業や投資家は直接資金を受け取ることができます。

② 国際的な利用が可能
SBLCは、世界中の主要金融機関で受け入れられており、日本企業やアジアの投資家も問題なく活用できます。

③ 迅速な資金調達
一般的な融資よりも審査が早く、通常2〜3週間以内に資金調達が完了するため、大規模プロジェクトや投資案件に迅速に対応できます。

5. SBLCの収益化のリスクと注意点

SBLCの収益化には多くの利点がありますが、リスクも伴います。

① 偽造SBLCのリスク

  • 一部の詐欺業者が「偽のSBLC」を販売しているケースがあるため、発行銀行の信頼性を事前に確認 することが重要です。

② 収益化銀行の選定

  • 収益化銀行によってLTVの割合や条件が異なるため、適切な銀行を選定することが必要です。

③ SWIFT 手数料の負担

  • SWIFT MT760の送金には一定の銀行手数料が発生し、通常 1万〜5万ドル 程度の費用がかかる場合があります。

6. 収益化に必要な書類(KYC手続き)

SBLCの収益化を進めるには、KYC(Know Your Customer)プロセスを通じて、借入者の身元確認が必要です。以下の書類を提出することが求められます。

  • 国際パスポートのコピー
  • 法人設立証明書のコピー
  • 銀行取引明細書(過去3か月分)
  • 事業計画書(投資目的の詳細)
  • 税金支払い明細書(オプション)

7. まとめ

SBLCの収益化は、企業や投資家にとって大規模な資金調達を可能にする強力な手段です。フレッシュカットのSBLCを利用すれば、満期後に額面通りの価値が保証されるため、安全性の高い金融商品として活用できます。

しかし、適切な発行銀行・収益化銀行の選定、KYC手続きの適切な実施、SWIFT手数料の管理など、慎重な取引が求められます。

お問い合わせ

SBLCの収益化に関心がある方は、信頼できる金融機関や専門家に相談の上、適切な手続きを進めることをおすすめします。