戦後史を語る上で重要な話があります。日本が占領下から独立することになったのが、1951年のサンフランシスコ講和条約であります。1945年にポツダム宣言に調印後日本は無条件降伏をし、その後6年間は、連合国の占領下にありました。連合国の間で、日本の統治についていろいろ話し合われ、分割統治をするという案もありましたが、サンフランシスコ講和条約場で、スリランカの代表で、後にスリランカ初代大統領のなられたジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ氏による歴史に残る名演説により、日本が救われました。その言葉は、「憎悪は憎悪によって止むことはなく、慈愛によって止む」というブッタの教えを話したことでした。日本に対して敵対し憎しみをもって対応しても、また新たな憎しみを生み平和な社会は現れない、愛をもって接しれば、平和が訪れるという意味を伝えたのです。よって、日本は分割統治されることなく現在の日本になりました。

現在の日本は東洋の奇跡といわれた経済復興がなされ、世界を驚かせたわけですが、その裏には、戦争には負けたが日本には不思議と支援される強運がありました。それは、日頃の行い、また、日本人として世界対してどう付き合ってきたかが大きく関係しています。

日本が世界とどう向き合うかが、日本の将来を守るためにも重要になります。

筆者も日本の戦後復興を支えた「基幹産業育成資金」と言われる資金についての研究をすることになり、現在では、「企業育成資金」と呼ばれていますが、その制度について研究をすれば、ただの特殊な国際金融の話では終わらない歴史の話が関係していきます。

ただ、金銭的な魅力の話では薄っぺらい話になりますが、深く掘り下げれば、この制度の延長線に見えるのは、「光と闇の世界」です。しかし、いくらこの制度について詳しく知っているからといって、それをどう判断して活用するかは、その人の心の問題です。すなわち、慈愛の精神がなければ、世界に光を与える事ができないということです。

そう思っていると筆者のところにスリランカの知人(政府筋)から相談がありました。スリランカの近距離鉄道網のインフラ投資に日本からの支援を求めているという相談でした。スリランカの首都コロンボ周辺のインフラ整備がまだ進んでおらず、今から7年ほど前に日本の政府支援により近距離鉄道網についての調査を行ったのですが、その後、なかなか日本からの投資がなく、計画は進まないままでいるということでした。そこに中国資本が参入の話があり、技術的には日本の技術がいいと思っているのですが、資本がないので、現指導者は、中国の提案に傾いているということでした。それで事業計画書を見せてもらいましたが、インフラ投資は、約2500億円、周辺投資などを含めると相当な金額になる事業プランでした。それをスリランカの政府系企業と日本の民間投資(官民パートナーシップ)により実現したいということでした。

このブログでよく書いているPPPには、2種類あります。特殊金融運用であるPPP(プライベート プレースメント プログラム)と一般的に第三セクターなどと言わる官民が投資するPPP(官民パートナーシップ)。

さて、話は戻りますが、通常このような海外支援事業は、国策でODAなどが活用されますが、ODAを申請しても最低3年かかると言われており、3年後に受理されるかどうかもわからなく、また、希望している出資が得られるかどうか不明なために、計画が頓挫することがあるという話を聞きます。やはり、民間からの直接投資がされることがスピードが早いのですが、日本の企業も発展途上国の都市開発という巨額投資で、回収の見込みがなかなか保証できない案件に対して、簡単に決済することはできないでしょう。

計画を見れば、スリランカ周辺の鉄道網開発と同時に、それぞれの駅周辺に特徴をもたせ、貿易センタービルや最先端技術を集めた頭脳集積基地、また、住宅やショッピング街など、総合開発により不動産投資による収益が見込めるという話です。

日本の都市部を結ぶ近距離鉄道網の開発は、鉄道を開発し、同時に周辺の不動産開発も行うことで、まちづくりをしてきました。同じような発想になります。

そこで、この資金調達について、「企業育成資金」の活用を考えています。

やはり、鉄道インフラ、不動産開発など経験のある企業の参画が理想的だと思いますが、官民パートナーシップの投資に「企業育成資金」から資金を無償調達をして、その資金の一部を、海外インフラ開発事業に出資して国際貢献できるのではないかと考えています。

返還不要の資金として調達資金をインフラ投資に使うのですから、出資側もリスクがないのです。これは、筆者がイメージする日本の世界貢献への考えですが、日本には、企業育成資金という返還不要の民間資金調達の手段があります。そこで資金調達した資金を対外へのインフラ、不動産投資を無償で行い、その投資物件から賃貸料を徴収するリース契約を行い日本にとって収益を上がるモデルを作ることができれば、日本は大きい初期投資は行うが大家業で安定収入を得るビジネスモデルが実現できるのではないでしょうか?また、先行投資で無償で、インフラ投資、不動産投資を行えば、好意的に考えてもらえるのではないかと思っています。筆者も海外で15年以上生活しビジネスをしておりましたので、海外投資のリスクは理解しています。よって、よほど、勇気がなければ、巨額なインフラ投資に手を出すことができません。回収できる見込みがあるのかなど、絶対に負けてはならない投資を考えれば、危険度が高く、今の日本の企業でそんな投資に手を出せる企業は皆無でしょう。

しかし、その財源は、返還不要な資金調達で得た資金であれば、十分なリスクマネーが取れます。多少損しても、痛くないと言えるのです。

企業育成資金の優れている点は、資金がなくなれば、何度でも申請可能であるという点です。すなわち、投資することが怖くなくなるわけです。

たまたま身近な方からの相談であったので、この国際貢献事業は、支援できれば支援していきたいと思っています。スリランカのインフラ事業に興味を持つ東証一部企業、銀行、信用金庫の代表者がいれば、お繋ぎして、国際ビジネスの支援を行います。